「大渡海」作業工程

写真:誰もいない辞書編集部。棚や机の上は整理整頓が行き届いている。新しい辞書「大渡海(だいとかい)」編纂の作業工程が書かれた紙。1.用例採集(言葉集め)、2.カード選別・見出し語選定、3.語釈執筆、4.レイアウト、5.校正。

1 用例採集(言葉集め)

辞書の各見出し語の語義説明(=語釈)を書くために、その実例となる使用例を集める作業。使用例毎にカードを作成し、対象となる言葉(=辞書の見出し語)と使用例を記入する。使用例は、大規模な中型辞典の場合は、古語から現代の新語・流行語にまで及び、古典作品から、近代の小説、現代の雑誌・新聞・インターネット上のテキスト、ラジオ・テレビ・映画・会話等の話し言葉まで、あらゆる言葉の使用例が対象となる。

2 カード選別・見出し語選定

実際の文章や話し言葉等での使用例や、他の辞書、専門学術用語などを調査して作成したカードから、『大渡海』で採用する見出し項目を選定する。複数にわたる使用例や、多岐にわたる学術分野に出現する用語などからなる膨大なカードを、見出し語ごとにまとめ、リスト化する。このリストをもとに、編者(編修主幹・編集委員)と編集部が、編集方針に従って、実際に辞書に載せる言葉(見出し語)を選定してゆく。

3 語釈執筆

見出し語項目リストの各語に語釈(=語義説明)を付ける。各ジャンル毎、特に百科関連の専門分野は、その専門の著者・執筆協力者に依頼する。各語の分量や形式は、編集方針とその内容を具体化した編集要領にそって執筆される。執筆協力者から上がってきた原稿は編者が校閲をし、内容の吟味、語義分類や用例の適切さ、他辞書との比較、分野毎の調整など様々な観点から点検される。この点検を経て、さらに、表記や用字・用語の統一、要素毎のフォントの大きさなどのレイアウトの指示、等々の原稿整理を行い、いよいよ実際の組版作業に回す送稿作業に入る。

4 レイアウト

原稿をもとに、指定にそって活字フォントで実際の辞書の紙面を作成する作業。辞書は非常に多くの情報と多くの要素をもつが、それを冊子という限られたスペースのなかに収める必要があるため、活字フォントの書体や大きさ、字詰め・行数、余白の取り方、カット図版や表の配置の仕方など、それぞれの要素の示し方に細心の注意を払い、見やすくかつ多くの字数を収容する紙面が求められる。そのためにも、レイアウト・デザインが重視される。このデザイン設計にそって、辞書の各要素を配置し、紙面作成・組版が行われる。

5 校正

実際に組版された紙面に対し、正しく組まれているか、内容的に正しいかどうかを点検する作業。組版された紙面をプリントアウトしたものを校正刷り(通称、ゲラ)と呼ぶ。この校正刷りに対して、編集部の校正作業者が指定どおり組まれているか、誤植がないかどうかを、点検し、また、編者は、内容的な校閲を再度行う。その作業の結果、修正指示の赤字の入った校正刷りを再度、組版に回し、修正した結果が、次の校正刷りとして出力される。最初の原稿から組まれたものを「初校」、それへの点検赤字修正を反映したものを「二校(再校)」、それ以降を回数によって順次、「三校」「四校」…と呼ぶ。辞書の校正は、内容が膨大なことと、より高度な正確性が求められるため、校の数が通常の書籍の倍以上に及ぶ。最終的に、完成段階になり、これ以上赤字修正がない状態、校正作業の完了を「校了」という。

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